特集=Audi/Passat オーナー必見!まさに激変!のサスペンション アーム ブッシュ交換

きっかけはサスペンションからの異音。どこからともなく聞こえる「ギコギコ音」に戸惑った。サスペンションを疑ってはみるものの、
バラしても原因が特定できない。「となれば、どこかのジョイントだ!」という事になったのだが、個数が多すぎて特定が困難。あげく
わからず仕舞いで組み直すと異音が消えてしまう始末。まったく原因がわからないまま約1年が過ぎ、オーナーの「やってください」
の一言に背中を押され、初のA4サスペンション ブッシュ メンテナンスに挑むことになった。




アッパー・アームの図。サスペンション上部マウントとの接続部・付け根に前/後で同じブッシュが入る。(黄矢印)
ナックルアームとの接続はボールジョイントで、アッパーアーム・エンドに前/後2個、タイロット・エンドに1個。(赤矢印)





ロア・アームの図。メンバー側とつながる付け根にブッシュが前/後で2個、サスペンション下部の支持部分に1個。(黄矢印)
ボールジョイントはナックル部に前後から2個、スタビライザーとのリンクにも上下2個。(赤矢印)





ロアアーム・リア側のブッシュの方が大きく、前後で負荷のかかり方が違うことがわかる。(黄矢印)
大きい=負荷の大きな仕事をさせられてる事になるので、トラブルの大半はリア側に発生し易いかもしれない。





全分解図。ブッシュは計5ヶ所/片側、ボールジョイントは計7ヶ所/片側。左右で数えると、とんでもない個数を使う。
通常のウィッシュボーンに比べると明らかに数が多く、きめ細やかな接地感を得られる反面、劣化・修復にはコスト高。
ちなみに接続部のボルトを抜くにはエンジンメンバーの吊り下げ、スタビライザーの取り外しが必要。





ボールジョイントは非分解構造だが、ダストラバーがCリングでクリップしてあるだけなので、コツさえ掴めば
グリスアップは可能。ちなみに図の注入機は樹脂工作用の注射器に適当なパイプを組み合わせたSST。
常に極面圧がかかりながら稼動している部分なので、グリスの種類としてはシャフトグリスが適当か?





ボールそのものがダメになることは少ないと思うが、ダストラバーは所詮ゴム製。
経年劣化でひび割れが起こってしまう。他の車体の物が使えそうだが...?








厄介なのがロアアームのボールとの接続に使われるナット。ネジロック剤が塗布してあるのだが、
現車の物は‘サビ’と一体化し、離れなかった。ボルト部に穴を空け、六角棒を差し込んでロック
しようと試みたが..3本の六角棒を折ったところで諦めた。結局、サンダーでナットを削り落とし、
薄くなったところへタガネでナットを破壊。やっとのことでナットが外れる。

ここまで分解したついでにハブ内側を洗浄。更にABSセンサーを取り外し点検しておけばベスト。

   

あとは根気良く左右で10個のブッシュをプレス機を使って抜き変える。
その後は逆の手順で組み付けを行い、完成。


分解作業を始めたものの、ブッシュを抜き変えるだけで良いものか?ピンポイントで音の原因となるべきところを変えるべきではなかったか?
自分自身で自問自答し、さらに進行しながらも迷いがあったのも事実。ところが、である。ブッシュを変えたことによって車が劇的に変化した。
走り出して5m、10m..「えっ!」たった数メートルの「車を動かす」程度のそのレベルで、すでに実感できてしまったから驚きだ。

A4のアーム類ブッシュ交換は、誤解を恐れずに言うならば、5年落ちの軽自動車から新車の乗用車に乗り換えたときのような変化を体験できる。

初期のA4やPassatともなると、ご覧のアーム類全てを変えるには対車体(市場評価価値を含め)を考えるとコストの面からも無理がある。
作業的には難しい部類の内容となるが、複数ヶ所をAssy交換するよりも、これなら遥かにコストパフォーマンスに優れたチューニングである。
どこかをピンポイントで責めて「居残り組」を作るより、これで何かが再発するようならその時にそのヶ所をピンポイントでやり直せばいい。

ここまで変われば十分に意味がある。このA4のオーナーは歯医者さん。大学病院で「歯の再生に関連する」という、難しい研究をやってるそうだ。
絶妙なチューニングを受けたその感覚は、彼が技系だから感じたことではない。たとえそれが女子供であっても理解できるくらい劇的に変化する。
数々のドイツ車のサスペンション リフレッシュに携わってきたが、そんな私でもたいへん驚かされた。もちろん、持ち主に至っては大喜びである。