エンジンオイル添加剤を考える

     

2009年8月1日、日本のケミカルメーカーを代表するWAKO'Sから全く新しい発想のエンジンオイル添加剤が発売されました。今までと何が違うのか?
従来市販されていた塩素系添加剤は、耐熱性や耐腐食性、環境影響の問題を抱え、固体系の添加剤は均一分散やフィルター捕捉等の問題が・・・
ええい、めんどくさい。要は潤滑性は優れるものの、各素材への攻撃性や目詰まり、凝固といったデメリットを少なからず抱えていた、ということなんです。
なので個人的には不要と考えていましたし、いまだ差し迫った必要性は感じていない(添加剤キライ)、というのが正直なところです。

■今回発売されたCORE501は、非塩素系・高濃度リキッドセラミックスが使用されています。

WAKO'Sでは前からリキッドセラミックスを使用した添加剤が存在しましたが、コストを度外視し高濃度・100%エステルベースとしたことが大きく違います。
またリキッドセラミックスは素材攻撃性が無く、液体(固体ではない)なので、潤滑油膜と粒径の違いなどが発生し得ない、といったところが特徴でしょう。

■内燃機と潤滑性の向上

これは内燃機に限らずですが、動力を生み出す機械は力の源となるもの(エネルギー)を、ある動きに変換して動いています。
内燃機の場合のエネルギー源は、言わずと知れたガソリンと酸素からなる混合気が爆発により発生する「熱」になるわけですが、
自動車に限って言えば、実際に推進力に至るエネルギーは発生した熱エネルギーのたった20%前後だと言われています。
では何で失われるのか?というと、直接大気放出される熱・振動・音のほか、摩擦によって二次的に生じる熱・振動・音などが上げられます。
すなわちエンジンオイルの添加剤などで潤滑性を向上させることは、エンジン内部のこれらを低減することを目的としているわけです。

逆にこれらを低減できれば推進力(エネルギー効率)が向上することになりますが、自動車が持つ機械ロスは何もエンジンだけが発するものではありません。
ここにメーカーが唱える効果・効能と、私なんぞのひねくれ者が考える効果・効能のギャップがあることは、第6話「内燃機」でも少し触れさせていただきました。
「エンジンオイル」という特定の部位に限って言えば効果絶大なのかもしれませんが、
基本的に有能なオイルを適切な交換サイクルで使用した場合、実は添加剤などに頼らなくとも、既にオイルそのものが十分な効果・効能を発揮しています。

前出の第6話を掲載した後で、「山田さんは点火系や排気系のチューニングは不要と考えているみたいですね」と言われたりしましたが、それは違います。
自動車は点ではなく、あらゆるものが複合的に関連して出来上がっていますよー、それだけで全てを得られるような誤解をしないようにしましょー、ということです。
ある一点=すなわち、エンジンオイルのみで捉えれば潤滑性が間違いなく向上する。よって使用方法にも制限(湿式クラッチ車などに入れてはダメ等)がある。
だからといってその添加剤が持つ効果がそれほどスゴいのか?と言われても、発生するはずの全ての機械ロスを考慮すると「そうでもない」としか言いようがない。

私個人が考えるこれらをメーカー開発陣が聞いたら「ナニ言ってんだ?おれ達がやってるのはソレじゃない!」と言うと思います。もちろん、その通りです。
私個人が考える‘それ’はある意味極論(総合論)に近いものだと思いますので、「そういう考え方もあるんだな〜」程度に捉えていただけると助かります。

これも前記の通りですが、エンジンオイル単体のその役割を捉えれば、それを捕捉してくれるいい添加剤が発売されたことは事実だと思います。
例えれば「いい米・美味しい米」がMOTULで、それは「いい水や素晴らしい環境が作り上げた傑作」であり、それだけで十分に美味しいわけです。
例えれば、その甘みや美味しさを更に引き出す「究極の塩」があるとすれば、今回発売されたWAKO'S CORE 501であろうと、そーゆー感じです。